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医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か

小松 秀樹
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医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何かの詳細
  • おすすめ度:まだ評価されていません。
  • 出版社:朝日新聞社
医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何かのカスタマーレビュー

「「医療と患者の齟齬」」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2008-09-25

 「医療崩壊」が社会問題であることを決定付けた本。
 大病院の現役部長が執筆したことで、「現場から発言する医師」が台頭する契機ともなった。今更ながらレビューを書くのはためらわれる記念碑的著作であるが、今から「医療問題」を考える人は一読されることをお勧めします。入門書としてはアクが強いですが。
 
 本書の結論は「医療と患者の齟齬」を何とかしないと医療崩壊は止まらないということである。 医療問題をかじった者なら、つい、「医師を増やせ」、「診療報酬の引き上げを」と具体的な要求に走りがちであるが、著者はさらにそれらの政策を可能にする「世論」を形成するにはどうすれば良いかまで踏み込んで提起をしている。
 「医療と患者の齟齬」の原因についての推論も、報道や死生観などを踏まえて広角に論じられているが、著者の社会認識はかなり厳しく、展望も厳しく捉えている。正直、悲観的な気分になる印象もあるが、軽い希望よりはよほど、現実の役に立つ視点を与えてくれる。
 
 部分的には開業医をなみするような記述や、リーダーを求めるような記述は違和感も感じるが、それらを含めて極めて率直な本である。
 責任ある立場の医師が実名で語る覚悟の本であり、そういった部分も含めて一読の価値が間違いなくある、と思える。

「医療崩壊への解決策を提起した、熱のこもった名著」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2008-03-23

「はしがき」によると、本書は「研究でも評論でもない。第三者的意見ではなく、現場の医師としての立場の意見である。危険な状況にある日本の医療を分析し、崩壊させないための対策を提案した」とある。そのように読まれるべきだ。

医療訴訟が多くの医師の士気を損ない「立ち去り型サボタージュ」を招いているという著者の指摘には、納得がいく。「日本全国で、勤務医が、楽で安全で収入の多い開業医にシフトし始めた。今、日本全国の病院で医師が不足している。小児救急は全国的に崩壊した。産科診療も崩壊が進行している。」 (p.158)

本書は、意見を述べる書、言い換えれば論争の書である。こうした本を読むには、まず、その論旨を把握しようとするのが、基本的な作法だろう。「言い訳しようとしているのではないか」「人を見下しているのではないか」「何か裏の意図があるのではないか」などということに気をとられながら読むと、全体として何が書いてあるかわからなくなる。それでは、何万冊読んでも得るものは少ないだろう。

著者は、医師の「情」が医療崩壊を招く大きな要因になっているということを、冷静に述べている。その「情」を述べた部分に触発される医師が多いとしても、「だからこの本に「理」をぶつけるのはほとんど不可能だ」としたら、読者が「理」をぶつけるためには、著者は自分が「理」と信ずることの一部を書かずに済まさねばならない。日頃、「情」に支配されていると、他人の言葉にも「情」しか見えなくなりがちだ。いきり立たずに、考えてみてほしい。

まともな読書もまともな言論もなかなか行われない、わびしい現状の中で、「言霊のくに日本の問題解決能力に期待して努力を続けたい」(はしがき) と述べる著者に敬意を表し、心から声援したい。

「全ての国民に向けた問題提起」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2007-11-03

日本でも社会問題となりつつある医療崩壊について、臨床医の立場から問題点を整理し、行政的な解決策を提示した本。問題の社会的重大さに比して、現場をよく知る医師によって書かれたこうした本はまだまだ少ないだけに、日本の医療システム問題を考える上で貴重な書である。私は医療関係者ではないが、そうした一般の人々がこの問題の現状を理解するにもためになる本である。

本書は特に、医療ミスに対する医療関係者の刑事的・民事的責任が非常に大きくて曖昧であることを問題点として大きく取り上げている。こうした問題は、特定の分野において医療従事者を確保することを困難にしたり、関係者が萎縮することによって医療の質を下げる恐れが大きい。医療ミスの問題は、医療・警察・司法・行政の問題が絡み合っており、現行の法体系に基づく個別事例の裁判というミクロ的な方法では社会全体にとって望ましい基準が作られるとは期待できない、という著者の主張は説得力がある。

本書の後半では、病院と診療所の診療報酬の格差問題、イギリスの医療崩壊やスウェーデンの補償制度、大学・医局の問題、厚生労働省の問題にも触れており、医療システムの問題を俯瞰するために有用である。

本書は豊富なケーススタディーに支えられている反面、マクロ的なデータによる裏づけや、財政面を考慮した医療システム全体の資源配分の問題については十分な言及や分析はなされていないように感じた。診療報酬の問題に関しては筆者の日本医師会に対する遠慮も感じられる。しかし、本書はあくまで一臨床医による考察であり、こうした点は必ずしも本書の価値を下げるものではないだろう。

「医療現場に、絶滅したはずの「知識人」がいた」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2007-10-22

これは、すごい名著で、大感動。
これほどの素晴らしい本が、ノンフィクション系の賞をなぜ取らないのかな。(いや、私が知らないだけで取っているのか?)

著者は現職の泌尿器科医だが・・。それとともに、社会に対して、自分の専門知識と、自分が蓄えた幅広くて見識高い学識を元に、自分の意見を強く主張していく、真の意味での「知識人」だ。(嫌味なく、ちらつかせる、文系的教養も素晴らしくかっこいい!) 

こんな立派すぎる「知識人」が、日本にまだ、いたとは・・。渡辺淳一とか、医者出身の作家たちは何してるんだよ。あんたらが、やるべき仕事だろう、こういうのは。「ボケちから」だかなんだか言ってる場合じゃないだろう。

この本の主張は、本来十分な予算を与えられていない医療の現場の人々が、「被害者に同情的すぎる」マスコミ、警察、検察などに、「本来、個人が責任を取ることはできない、システム的なミス、人員的に必然的に発生するミス」にまで、過大な責任を取らされ、刑事被告人にまでされていることに恐怖を感じ・・。

そういったリスクが高い、外科や産婦人科や小児科、総合病院の現場から、どんどん逃亡していっているというものだ。

彼らの逃げ場は、開業や、民間クリニックでの勤務だ。そして、彼らに逃げられて、ますます人員が少なくなった総合病院は、さらに運営が苦しくなるという、悪循環。
おそろしく説得力がある筆致であり、そしてこの国の医療の将来が恐ろしくなる。

医師等を攻撃する人々は、「過剰な安全幻想と不老不死願望」をもっているが、著者は「医療は、本来的に人体に侵入的なものであり、必ずリスクを持っている。そして人間は必ず、死ぬものだ」という。

この本は本来、検察官向けの意見書として書かれたという。

また、最後の章は「新聞記者などのジャーナリストたちは自分で考えておらず、空気のような『世論』しか書いていない」というジャーナリズム批判であり、編集担当の朝日新聞社の編集者と大議論となったという。
「編集者と対立した」という経緯を、そのまま著書に書けてしまう、著者の覚悟と迫力もすごい。

是非、著者の意見が、この国の医療の将来を変えるために、受け入れられてほしい。

「自分自身」 おすすめ度:レビュアーのおすすめ度 投稿日:2007-10-14

自分の顔がはがれても

以外に他人の顔がそこにあったりするよ

血液型と生年月日で人を理解してるような人間がいる現代

本当に頑固になる必要があるか

立ち去った跡に残った物こそ謙虚になればいい。

そうすればもっと肩から力を抜けるシステムになる。