「患者サイドから見た、精神病棟の在りし姿」 おすすめ度:
投稿日:2007-10-16
本書を読みながら考えていたのですが、
これはドキュメントでもあり、回復記録でもあり、といった具合に、
複数の読み方の道が用意されていて、
読む人の視点によって、色々と異なった印象があると思います。
精神病棟での治療のあり方(今では日本でそんなことはないと思うが)は、
1 ロボトミー手術
2 電気ショック治療
3 インシュリンショック治療
など、今から考えるとかなり悪寒を伴う治療法ばかりです。
現在では、薬物による外部的治療と、
カウンセリングによる内部的治療とあるとは思いますが、
かつてはすごいことしてたんだなあ、と素朴に恐怖を感じます。
著者はそうした精神病棟に入院していたのであって、
恐怖の中に放り込まれた一つの被害者ともいえるでしょう。
ただし、時代的な違いなのか
仕事に対する考え方に対しては、
どうしても承服することができないことも事実です。
違う部署だと辞める、こんなんじゃ、働けないでしょ? と。
今なら、さしずめ「引きこもり」→「ネットの住人」という
積極的な方向性が見えてくるのでしょうが、
著者が壮年を過ごしていたのは、ネットが出る前の話です。
現代だったら、セカンドライフでうまいこと稼ぐもよし、
アフィリエイトで何とか飢えをしのぐもよし、
情報起業で寝たきりでガッツり行くのもよし、
ミクシーで出会いを求めるもよし、と
情報産業の進展に伴って
かなり選択の幅が広がっているように思います。
病気の回復とはまったく関係ないのかもしれませんが、
こういた世界へと進むことで、自分に自信をつけることができるのではないでしょうか?
外部的治療の選択肢の一つとして、かなり有望なのでは?
「記録」 おすすめ度:
投稿日:2007-04-15
統合失調症の患者さんが書いた精神病や精神科医療の記録です。患者側から見た精神症状や精神科病院、精神科医療の変遷などがわかって、大変ためになる記録だと思います。精神医療関係者は一度読むことをお勧めします。私は2日ほどで読みました。
「著者自身の統合失調症の闘病記録であり、当時の精神医療に対する批判である。」 おすすめ度:
投稿日:2005-10-24
赤裸々に書かれているのだろうが、幻聴と幻覚に引き続いて何度も起こる錯乱で意味不明のことを口走ったとあるが、一体、何を口走ったのだろうか? 想起は困難かもしれないが、肝心なことが明かされていない感じがする。
元松沢病院院長が書いた付記は厳格な印象を受けるが、専門家の見地からの盲点の指摘、解説、精神医療に対する見直し等があり、付記の位置付けにふさわしい内容である。
「人生の生き方と選択」 おすすめ度:
投稿日:2004-12-06
統合失調症の方が、ご自分で書いた本です。
私は、大学の精神科研修や自身の入院体験を通して、
いかに精神科が未開拓な分野なのかを思い知らせれました。
今の日本でも、患者が30年も入院している事実があります。
私の疾患に対する医師不信と、そういう一連のことを考えながら、
この本を読んでいると、昔かかれた本にもかかわらず、
今も精神科がその現状であることを、改めて感じました。
私は、自分の病気に振り回されて、
人生の全ての時間を発作に費やしていたら
もったいないと言う思いが、私の中で、一層強くなりました。
いわゆる、意識改革のために、役立った本です。
これから先、どう病気と共存していくか、人生の質をあげるか・・・。
統合失調症にかかわらず、生き方を考えさせてくれる本でした。
「人生の苦悩の重み」 おすすめ度:
投稿日:2003-05-26
これは統合失調症を病む患者,松本昭夫氏の自叙伝である。これは,統合失調症患者の体験談として本邦における先駆的な著作であり,これまでにすでに数十刷を数えるロングセラーとなっている。ここに描かれている心境は,若さゆえの思い上がり,既成社会や常識的な生き方の拒絶,詩人としての創作活動,性的葛藤,精神障害による苦悩が織り交ざって激しいエネルギーがほとばしり出ており,一般的な意味で読み応えのあるものとなっている。著者は,精神医療に対する厳しい見解を表明している。彼は精神病院の劣悪な環境,原因を究明するためのカウンセリングの不足などを問題点として指摘し,現在の精神医療のあり方を批判している。それぞれの批判はもっともな側面がある。他方,彼が出会った精神医療従事者は,相当の数に上るであろうが,ほとんどその人々のことを彼は記述していない。著者が彼らと一定の距離を置いて接してきていることが推測される。とはいっても,評者は,精神医療従事者の一人として,著者との建設的な出会いを実現し,協力関係をもっと早期に形成することべきであったと思う。
著者は,数回の強制入院を経験していたが,本書の刊行後には再入院していない。彼は,人生の中で消極的にではあれ精神医療との共存を選択したのであろう。さらに本書の16年後に刊行された「精神病棟の20年 その後」には,一種の諦念ともいえる静かな心境や他者への暖かい思いやりが描きこまれている。「精神病棟の20年」は,人間の人生における苦闘の重みを感じさせる書物である。