「多重人格のカルテの行間」 おすすめ度:
投稿日:2006-01-29
この本は、多重人格のケースを複数報告しているものです。それらのカルテから浮かびか上がる様々な観点は他の多重人格の手記や報告には見られない社会的な問題提起にもなっているばかりか、治療の現場に携わる者が学ぶべき多くの示唆に満ちています。特に、多重人格の診断の難しさだけでなく、治療の続行の難しさについても言及があることは、特筆に値します。統合まで辿り着いたケースばかりを読んでいては、そうした少し関わってやめてしまうクライエントという問題は見えないからです。これは本人にとっても辛いばかりか、社会的な問題にもつながっています。正しく診断・治療されず売春婦やホームレスになる可能性が高いからです。またスクリーニングされず性同一性障害として手術を受けてしまったり、という多重人格者については、実態も調査されず問題視もされていないのが現状のようです。
この本には他に、霊や悪魔を名乗る交代人格について、どう対処するかといったことへの考察もあります。多重人格に類似する症例について三分の一を割いていますが、こうした症例についてまとまったものは読んだことがありません。そうした点でも貴重な一冊であると言えます。
「多重人格の入門書」 おすすめ度:
投稿日:2003-12-23
多重人格(解離性同一性障害)治療の権威であるコリンAロスの作で日本での同病気の専門家の一人服部雄一氏の翻訳である。著者の患者を例にセラピーの過程がわかりやすく書かれてある。人格統合の例のみだけでなく、治療の失敗例や治療をしない方がよい例なども書かれている。多重人格症の入門書としては大変いいが、その反面1冊の中に13もの例を記述しているので既に同病気についてたくさんの本の読まれており1つの症例について詳しく知りたい方には物足りないかもしれない。